私TAKAは福岡チームのテーマは「博多湾及び沖ノ島周辺の海洋文化遺産について」となったのですが,その検討過程をちょっとご紹介します。
「石原先生,瀬戸内海ではないのですが大丈夫ですかね?」
これは私の心配事でした。
今回のテーマは「最初の舞台は瀬戸内海」(写真)とあります。そのため瀬戸内海の各県のチームを編成していますね。そのため瀬戸内海の海路をテーマにすることが想定されたのですが,福岡チームは上記のテーマになりました。博多湾や玄海は瀬戸内海とはいいがたいためなぜそうなったのか私なりに説明すると以下のようになります。
一つはテーマを早急に決めねばならず福岡県の中心は福岡市近郊でありメンバーの関心もそちらが多いこと。
もう一つは福岡市近郊には水中考古学でもっとも有名といってよい鷹島があり,実際に元の船など出てきていること。最近も新しい船が発見されたなどニュースになりました。日本の水中考古学のガイドラインともいうべき「水中遺跡ハンドブック」も鷹島に関する記述が目立ちます。ハンドブックを「鷹島」で検索すると300頁足らずの冊子に実に161カ所も登場します。「水中遺跡ハンドブック」の刊行前は平成29年の「水中遺跡保護の在り方について」という報告が前身といえそうですがこれも鷹島神崎遺跡が史跡指定されたことを契機になったとガイドラインに記述があり地域的にみてリアルな「鷹島の成果」を無視できないのが実情です。
とはいえ,「鷹島はそもそも福岡県ではない」という大きな問題があるため福岡市近郊にシフトした次第です。元寇は二度起きていますが,能古島周辺に停泊していた事実があるため博多湾も一応考えられるわけです。
沖ノ島は私の大好きな古墳時代の遺跡ですが,おそらく海が荒れて着岸できなかったときは奉納物はそのまま海に投げ入れたのではないかなど想像ができます。記紀にも器物を船から投げ入れるシーンはあったようにおもいます。ただ,気になったのは
「そもそも世界遺産かつ沖ノ島は禁足地なのに海洋文化遺産の調査はできるのか?」
という疑問がございました。世界遺産については調べてみると海上でも「緩衝地帯」という設定がなされていました。
「緩衝地帯ってなんだろう」ということでこういう場合は専門的知識がある学芸員さんに電話で聞いてみるとよいです。知っていることは親切に教えていただけます。結論として環境に配慮しましょうというものであって学術的な調査などを障害になるものではないことが判明しました。ただ同時に仮に船を出して調べようとするときは漁協に相談してください。密猟と間違えられたり面倒なことがないように,「海の道むなかた館」というダイダンス施設は必ず訪れるようにという親切なアドバイスまでいただきました。
禁足地であることもあくまで島への陸上であって海の中までは及ばないといえそうです。
短い時間でどの程度調査できるのか,という問題もありますが,とりあえず調査はできそうだということは判明しました。まだまだ知識も浅くテーマも広いためどのような形になるのか不明ですがこのような経緯でテーマを設定した次第です。いずれ北九州,瀬戸内にかかわるボツネタも紹介できればと思います。
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