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小豆島小瀬海岸の水中考古学調査視察

本プロジェクトメンバー 吉崎伸より

小豆島小瀬海岸の水中考古学調査視察の報告です。


2月29日~3月1日に香川県小豆島土庄町小瀬海岸で実施された水中調査の視察に行きました。この調査は、奈良国立文化財研究所の高田祐一さんを中心に、大阪府狭山池博物館の中西裕見子さん、バックアップとしてダイビングショップ「 blue.blue 」の広瀬早紀さんが参加されています。今回は特別に佐賀大学の宮武正登教授も参加されていました。


小瀬海岸
小瀬海岸(調査前の打ち合わせ)

小瀬海岸は石材を積出す港の遺跡と推定されています。約400年前に起こった「大坂の陣」で焼け落ちた大阪城を復興するため、徳川幕府は瀬戸内の島々から多量の石材を調達しました。この小瀬海岸の山手にも重岩(かさねいわ)と称する小瀬原石丁場跡があり、ここで切り出された石材が大坂に運ばれています。ただどこで、どのように船積されたのは明らかではありませんでした。


高田さんのグループは小瀬海岸の水際から沖合に転がる石材を調査し、その中に石垣が残存していることを突き止めました。そこで水中で撮影した画像からフォトグラメトリを利用してその記録を試みようとしています。浅深部の記録は水深のある所に比べ、波の影響、透明度など困難な条件が付きまといます。昨年秋に試みた調査では透明度が確保できず記録に成功しませんでした。そこで今改は透明度の良い冬場に再挑戦したのですが、今度は石材についた海草ため思うようにいかなかったようです。


GOPROを使っての撮影
GOPROを使っての撮影

しかしながら、今回は目視やドローンの空撮によって、石垣の全体像がおぼろげながら把握できたようです。今後は詳細な記録をとるため再度、季節や天候を選び再挑戦するとのことです。


小瀬海岸はこれまで実態が不明だった石材の積出港の遺跡として有望なものと考えられます。そして水深も浅く、アクセスしやすいこともあり、水中遺跡の実態を伝えることのできる遺跡と感じています。


(水中考古学研究所:吉崎 伸)


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